BOSS
2019年08月14日
10:28
「SLて結局何をするの?」
あたしの疑問に彼女は答える
「チャットコミュニケーション、、、かなぁ、、、」
長身を捻って 蜂蜜色の髪の美女は笑う
「ゲームだよ!」
ヘッドフォンのコードを指に絡めて
まぶしげに 彼女はまつげをふせる
「SLで出会う人は みんなSLの登場人物だよぅ」
ヘルメットの頭をかしげて 足をぶらつかせながら
彼女はピンク色のガムを膨らませている
扉を開くことの無い 脚本をもてあそんでいる
あたしは瞬きして 目眩に包まれる
二人の言葉は どちらもまるで 嘘が無い
あたしは今も それを丸ごと受け入れている
だから 笑顔で差し出された 毒の林檎も
丸のまま喰らい尽くさなければならない
この世界を 登場人物達を 否定しルールを無視することは
あたしには許されていない
林檎を切り分けることさえも
ほんのりと蝕まれ あたしについた傷を
他の誰かが しらんふりで拭ってくれたりする
ここは そういうゲーム
いつかあたしのホログラムが
腕を得て 声を持ち あなたの前に立つのだとしても
いつかあたしの思考が 直接基板とコンタクトして
あなたを忘れず どこまでも繋がっていくのだとしても
朧気な輪郭を指でなぞる
パーフェクトで 形の無い 無駄ばかりの 美しい世界
何もないはずの空間は あなたを包むゆりかごになり
あたしは無理矢理 そこから何かを掴もうともがく
いつか 新しい世界に旅立つ時はくるのかさえ
まだわからないまま・・・
あたしが捕まり 絡め取られ
体ごとバラバラになって 泣きながら逃げ込んできた夜にも
画面の向こうの美女たちが
浅はかでかわいいあたしの頭を なでていた気がした
またいつか 答えを探すこともあるのだろうか
今はまだ ここは そういうゲーム
あたしたちは落ちてきた
混沌と秩序は 一緒に ここにある
王者は歌い 神さまはいない
見ないフリの上手な あなたが描く甘い夢の国
この眩しさを 分け合おう
i′m your screw, before it falls.
you′ll come back to my heart, and i′m confused.
still you encourage me...
20190814 renny